採用
名古屋のタクシー会社。応募8倍で30人→250人。新しいことをしたわけではない。変えたのは採用ページ1枚だけ
2026.09.12
名古屋のタクシー会社。応募が30数人から250人超になった。新しい制度は1つも作っていない。研修も給与の保証も前からあった。作り直したのは採用のページ。応募した人の6〜7割は先にそのページを見ている。
■ 第1章:応募30数人。他社と何が違うのか分からないホームページだった
愛知県名古屋市。1952年創業のタクシー会社。
つばめタクシー・大和グループ。5社のグループで採用は1社がまとめて行う。
新卒は採っていない。全員が中途採用。
タクシーの経験は要らない。未経験でも応募できる。
門は開いていた。それでも応募は30数人。
採用担当の言葉。
「以前のホームページは、他のタクシー会社と比較して抜きん出ていなかった。」
他社と何が違うのか。見た人には分からなかった。
ちゃんと求人は出していた。制度もあった。ただ、応募者には伝わらず、他社との違いが分からなかった。
■ 第2章:最初に手をつけたのはデザインではない。会社の言葉を作り直した
きっかけの言葉。
「思うように人を集めることができていなかった。その課題を解決するためにホームページのリニューアルを決意。企業理念の再構築から始めた。」
見た目より先に何を言う会社なのかを決めている。
【1つ目】
社員と客に聞いた。
自分たちで決めずに外から言葉を集めた。
【2つ目】
会社の言葉を決め直した。
「DRIVE CREATIVITY 創造力を、走らせろ。」
タクシー会社の求人には見えない言葉。それをページの一番上に置いた。
【3つ目】
研修の日数と中身をそのまま出した。
どれも前からあった制度。新しく作ったのは載せる場所だけ。
【4つ目】
デビュー後の給与保証を出した。
最長6か月は一定の給与を保証。入寮費は半年無料。
【5つ目】
収入の額を前に出さなかった。
同業の広告は「あなたも◯◯円稼げる」が多い。
そこを主役にせずなぜ客が自社を選ぶのかを書いた。
【6つ目】
選考の基準も理念に合わせた。
面接でもこの考え方に共感できるかを見るようにした。
採用担当の言葉。
「従来からドライバーの生活を安定させたいという想いがあったため、元々手厚い研修や保証は準備していた。リブランディング時に全て刷新したわけではない。せっかく良い制度があるのだから、ホームページを通じてしっかり求職者に伝えていこうという想いで作成した。」
新しく作ったのは制度ではない。制度が伝わる受け皿。
■ 第3章:応募30数人が250人超。そのうち4割はページから直接来た
ホームページを作り直して以降応募者は30数人から250人超になった。
7倍から8倍。
そのうち4割ほどがページからの直接応募。
全応募者の6〜7割は応募する前にページを見ている。
定着率も年々良くなっている。
高齢化と男性中心の業界で若者と女性のドライバーが増えた。
求人広告を増やして集めた数字ではない。見に来た人が応募に変わった数字。
一番読まれているのは給料のページではない
応募者が最も見ていたのは「研修内容」のページだった。
未経験で入って独り立ちできるのかを見ている。
■ 第4章:なぜ効いたか。求人票は条件を書く場所で採用ページは中を見せる場所
タクシーは外から見ると全部同じに見える。乗って初めて運転手が分かる。
求人票も同じ。
給料と休みしか書いていない求人は全部同じに見える。
【1つ目】
研修や制度。元々あったのに知られていなかった部分。それらを全面に出すようにした。つまり給与や条件ではない中身をアピールした。
研修も保証も新しく作っていない。載せていなかっただけ。
制度が無い会社ではなかった。伝わっていない会社だった。
同業は収入の額を前に出す。額で比べられたら大きい会社が勝つ。
なぜ客が自社を選ぶのか。ここで働くと生活がどうなるのか。
比べる土俵を変えている。
【2つ目】
応募する前に見られる場所を作った。
応募者の6〜7割は応募の前にページを見ている。
求人票を見た人が次に会社名で検索する。
給料や条件しか見せない会社は選ばれない。
■ 第5章:真似して失敗する4つ
「うちもホームページを作り直そう」で失敗する。
【1つ目】
デザインから入る。
採用ページは求職者に魅力が伝わり、応募したいと思わせる設計になってるかどうかが全て。
ここの設計次第で志望度や熱量の低い人や入社後のミスマッチも減らせる。
ただ表面的に綺麗なページにすればいいわけではない。
伝わらなければ自己満足に過ぎない。この会社は理念の作り直しから始めている。
【2つ目】
制度を新しく作ろうとする。
休みを増やす。手当を付ける。金がかかって途中で止まる。
先に今ある制度を棚卸ししたほうが早い。
【3つ目】
給料や条件だけ書く。
額で勝てる会社は額を書けばいい。けど、大半の会社そうじゃない。
【4つ目】
作って終わりにする。
このページには先輩の紹介が6本ある。2019年入社から2024年入社まで。
作った後も足され続けている。
自分でやるかプロに任せるか
ここまで読んで「自分たちでも出来そう」と思ったならぜひやってみてください。
あなたの時間の価値が低いならゼロから試行錯誤して作ってもいいですが、そうでないならあなたがやるべき仕事ではありません。
見た人にどうすれば魅力が伝わり、応募したいと思わせる設計になるか。何を載せ、何を載せないか。伝わるクリエイティブかどうか。そもそも自分たちの特徴や強みをちゃんと分かってますか?
社長に向かって「本音」を言う社員はいません。
「うちの良いところどこだと思う?」社長が聞けば「働きやすいです」となります。
嘘ではありません。ただ、構造上そうなります。
漠然としているから結局使われるのは当たり障りのない、
「アットホームな職場」「風通しがいいです」
という言葉にしかならない。求人票で最も使われている2語です。
読む側はその2語を「人が少なくて忙しい」と読みます。
つばめタクシーが聞いた相手は社員と客でした。
聞いたのは社長ではありません。
もう1つあります。時間の話です。
人が集まらない会社は社長が採用を片手間でやっています。
自分でページを作るのはその片手間をもう1つ増やすことです。
人手が足りないまま回すと残った人が残業します。
残業代は毎月出ていき、
人手が足りなくて断った仕事の分は売上として入ってきません。
採用が止まると売上の天井はそこで決まります。
■ 結論:あなたの会社でやるならどうするか
求人票を見た人は必ず会社の名前で検索しています。
あなたも一度だけ自分のホームページを見てみてください。
出てきたページにあなたの会社の魅力が伝わる「顔」がなければいい人は集まりません。求人票は最初の集客に繋がりますが、その後の受け皿がなければその手からポロポロとこぼれ落ちていきます。
つばめタクシーがやったのは「今ある制度を棚卸しして、求職者が知りたい形に書き直して、応募の前に見られる場所に置いたこと」でした。
あなたの最初にやる1歩は今どうやって採用しているかを書き出すことです。
「ハローワークに1本出している」「求人サイトに出しっぱなし」「知り合いに声をかけている」
もしよければそれを送ってください。
無料で45分の採用相談させていただきます。
送るのは今どうやって採用してるかだけ。1分で終わります。
▶今どうやって採用してるかを書いて
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出どころ
- 中途採用におけるウェブサイト等活用好事例集 P.16〜19 つばめタクシー・大和グループ(厚生労働省委託・令和2年度。応募者30数人→250人超・4割が直接応募・6〜7割が事前にホームページを見ている・研修の日数・給与保証)
- つばめタクシー・大和グループ 採用サイト(現物。研修制度のページ・先輩インタビュー6本・2019年入社から2024年入社まで)